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知らなきゃ損!モノラル録音のフルトヴェングラー

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家にいることが多くなり、落ち着いて音楽を聴く機会が増えています。
通勤時などは細かい音の差など気がつかないことも、据え置きのステレオでじっくり聴いていると細かな気づきがあることも多いです。

■ヴィルヘルム・フルトヴェングラー

(1886年-1954年)

クラシック音楽を聴き始めた当初、CD店でその名前(フルトヴェングラー指揮)を多く見かけました。初心者向けの本を参考にしてCDを探していたため、「ヒストリカル」(歴史的録音)ともいえるフルトヴェングラーの記載は無く、新しめで無難なものが紹介されていたこともあり、あまり注目していませんでした。

新しめで無難なものといっても、基本になる部分ですので実は大事だったりします。紹介されているものは「グラモフォン」「RCA」「EMI」などのレーベルで比較的手に入りやすいものですし、クラシック専門店(専門コーナー)などがない、CD店でも手に入れやすい物でした。

■フルトヴェングラーに注視

今は池袋エソラに移転して少し小さくなってしまいましたが、当時、池袋のルミネにクラシック専門の「HMV」がありました。とにかく数が多い。そんななかでも、フルトヴェングラーは目立ちます。これだけ数が多いとどんなものなのか気になります。手に取りCD裏面を見ると録音年月が古く、新しくとも1950年代。しかも、モノラルです。マニアが懐かしむもの、古いものが好きな方のものなのかな。と思うところでした。

横には、トスカニーニ、メンゲルヴェルク、エーリヒ・クライバーなども並んでいましたので、今思えばヒストリカルコーナーだったのかもしれません。

当時は演奏の違いはよくわからず、音の良い物を買い求めていました。そんなこともあり「DDD」つまり、デジタル録音の方が良いと思っていたのです。

録音の技術は、少しずつ進化し、現在でもまだ物足りない部分もあるのですが、手軽に良い音を聞けるようになっています。
そんな中フルトヴェングラーの録音にどのくらい価値があるのか。当初はよくわかりませんでした。

 

あるとき、店頭(秋葉原の石丸電気のクラシック館)で、すごいベートーヴェンの交響曲第9番がかかっていました(バイロイト音楽祭が再開された初日に演奏された版)。店内でかかっているBGMにしては、とても力強く、訴えかけるものがありました。
これまで聴いていたものとは違い、生き物のような音楽です。新譜のLPがかけられていました。そのLPの値段は1万円以上。

当時、私の認識では、レコードは過去のもので、プレーヤーもありませんでした。レコードというメディアが良いのか演奏が良いのかモノラルでも十分な迫力。音楽が本物だと録音の悪さを飛び越えてくるのがわかりました。店舗の紹介用BGMですから、環境が良いとは思えません。

■フルトヴェングラーに惹かれはじめる

図書館の資料で、昔の指揮者の映像集がありました。

「世紀の指揮者 大音楽会」

残っている映像も古く、フィルムに傷やゴミも多いのですが、貴重な映像集です。ハイビジョンに慣れた目で見ると見づらいのですが、個性的な指揮姿を見ることができます。はっきりいうと指揮姿もよく見えません。おなかの前で、手が震えているようなと言う方もいます。練習での指示まではわかりませんが、本番ではそれがよいずれを生んでるという方もいるようです。

クラシック音楽演奏は、時代を経るごとに、演奏が均一化、優等生化、すっきりしてきたという感じはあります。古楽器を使用した演奏などは、それはそれで価値があるものの、さっぱりしすぎている感もあります。
「精神性」や「芸術性」というものはつくりだせるものではなく、聴く方が感じることですが、システムがしっかりしている現代の音楽教育だと、個性的なものは難しいのかもしれません。

■フルトヴェングラーの沼に

「沼」といっても私の場合は、水たまり程度かもしれません。好きな方は、床が抜けるくらい集めている方もいますので。
いつの間にか、フルトヴェングラーから探すようにはなってしまいました。

当初、ベートーヴェン、交響曲第9番のCDを購入して聴いてみることにしました。あくまで「試しに」。それにしても数が多い事におどろきます。いつの演奏か、リハーサルなのか、テープから起こした物、疑似ステレオというものもあります。そんなに演奏によって解釈が変わるわけはないだろうということもありますが。

とりあえず、一枚買って聴いてみると、期待以上に素晴らしい演奏でした。ベートーヴェンの交響曲第9番の場合、最後の加速が尋常ではありません。演奏全体も伸縮強弱自在。驚いてしまいました。じゃあということで、もう一枚聴いてみると同じようでも若干違います。会場や演奏、録音などで雰囲気は変わってきます。テープ起しなどはヒスノイズがひどく、これははずれかなあなどと思いましたが、気がつけば良く聴いています。

実はこの感覚が「危険」なことに気がついておらず、そこからどんどん増えていきました。
EMIのものなどはBOXで発売されていて、そろえやすいのですが、LPも含めてかなりの数になってしまいました。ただ浅瀬ですんだのは、フルトヴェングラーファンが多く、新譜は手に入りやすく、中古でも手頃な値段であることです。もっと深いコレクターだと、お金は青天井になるようですが。

 

 

 

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