■重低音がもてはやされた頃
もう30年以上前になるでしょうか。「重低音」をキーワードに各社、ラジカセなどの新製品を発売しました。
ミニコンポもラジカセも、スペース効率の良さが重視されていましたので、スピーカーにかけられる奥行きや容積が限られてきます。
そのため、低音が弱くなってしまいます。高音が強いというより、低音が弱いとカシャカシャの音に聞こえがち。ということもあって、「重低音」を売りにしたのがこのブームでした。
低音を強調するには、電気的(イコライザーなどで)に強くする方法、とスピーカを大きくして、低音の通り道を大きくする方法などがありますが、ソニーは製品の小型化を強く進めたメーカーですので、スピーカやイヤホンにうまく詰め込んだり、プログラムを工夫したり、と様々組み合わせ、現在に続く技術も多数あるわけです。
■ピュアオーディオの世界では
ピュアオーディオといわれるものは、2ch。つまりスピーカー2本でどのくらい良い音でるかを競うようなところがあります。
アンプについているラウドネス機能(低音と高音を強調する機能)も使いたくない。ソースダイレクト(アンプを増幅のみに利用し色をつけない)が好まれるようです。
映画、ゲームだと、5.1ch、7.1chと自分を中心に取り囲むようにスピーカーを配置し、臨場感を重視するという設置があります。
この場合、スピーカーの距離や角度などの設定が難しいようです。とりあえず、スピーカーの数があれば臨場感が増すと言うこともあり、音の純度というより臨場感重視になります。後ろから迫ってくる、左から近づくなどがわかる方が、リアリティーがあるわけです。
■低音はどうする
5.1や7.1の「.1」の部分がサブウーファーです。恐竜が迫る、ミサイルが向かってくるなど低音の迫力はさらに臨場感を増します。手軽さだけで高音質化するなら、2.1chも悪くないものです。
以前の「重低音」ブームの反省から、なんとなく低音を求めることに気恥ずかしさもあるのかもしれません。ピックアップトラックの荷台にでっかいウーファーをのせて「ドンドン」響かせるなんてのもあり、ちょっと恥ずかしさがあるかもしれません。
■指向性
少し前に、高音のさらに高音。聞こえない部分を再生する「スーパーツィーター」がはやりました。
これは価格も高く、指向性(顔や耳の位置にちゃんとスーパーツィーター向いていること)が重要で設置が難しいという問題もあります。
効果もなんとなく良くなったと言う人もいれば、変わらないという人もいます。聞こえないものを聴くわけですから、わかりにくいのはしかたありません。
すごい耳を持っているかどうかは音楽の良し悪しにどのくらい関係するかはわかりにくいところですし。
ところで、低音に関しては、人間の耳は方向に関係なく、良く聞こえるようになっているようです。あまりに低音だと振動となって伝わってきます。
クラシックのコンサートで低音が振動で伝わるということは有りませんが、低音が強調されると、チューバーやティンパニ、コントラバスなどの重厚な響きが再現できます。その分高音がぼやけてしまいますが、曲によっては気分が高揚します。
■価格は抑えめ
サブウーファーに関しては、価格は安く、指向性が強くありませんから、2台つける必要はありません。技術的に熟成されており、壊れにくいですし、好みでつけたり外したりできます。
パソコン用に安い2.1chスピーカーもありますが、安くてもゲームや映像の迫力が恐ろしく増します。安いもので試しにクラシック音楽を聴いてみましたが、チャイコフスキーやショスタコーヴィチ、ベートーヴェンの奇数番の交響曲にははまりました。ピアノ曲、ヴァイオリンなどの器楽曲の場合は不自然になる場合もあります。多くの楽器では気になりませんが、単体の場合耳に音が到達するまでの時間差が人工的になるためかと思われます。