チャイコフスキーの交響曲第5番といえば、ロシアの指揮者(ムラヴィンスキー、スヴェトラーノフ、ロジェストヴェンスキー…)が十八番としているところですが、日本人では、小林研一郎指揮のものがおもしろいです。
演奏自体が「演歌」を思わせるようなところがあり、曲によってハマるハマらないが極端ですが、この楽曲についてはドンピシャなのだと思います。
■実演では
日本フィルハーモニー交響楽団での実演を聴いたことがあります。基本的には速いテンポですが伸縮自在で、かなり古い時代の演奏を思わせるものです。フィナーレに近づくと指揮者が客席の方を向き、音を届けようという動作とともに、実際に音が前に出てくる感じもあります。演奏者・指揮者・観客が一体となって楽しめる演奏で、珍しいものではないでしょうか。
この感動を家でもと思うとCDになりますが、さすがに現地レベルの再現は難しいものです。
■CDはたくさんでていますが
小林研一郎さんが、それだけ得意としている楽曲なので、時代ごとに色々な盤がでていますが、本日紹介するのは、2007年に発売された、日本フィルハーモニー管弦楽団とアーネム・フィルハーモニー管弦楽団が共演したものです。記念盤と言うかたちでの共演ですが、これほど多く出されているチャイ5のCDでは出色ではないでしょうか。
実際に聴いてみると欠点は多いものの実演での面白さは普通のCDより感じられるように思います。
■2楽団で演奏するとどうなるのか
2楽団で選抜して演奏しているわけではないので、楽器数がほとんど倍に増えているということです。
音響的な興味もわきます。
カローラに大排気量エンジンをつけ(それも8000CCとかのオーバースペック)が暴れるのを抑えながらという印象でもありますが、慎重さは序盤のみで、しっかりと演奏されています。
若干音が濁るのは仕方ないところです。急にテンポが早くなる部分も多いので、演奏者の方は中々苦労したかもしれませんが、面白い演奏となっています。
レーベル名:EXTON
発売会社:オクタヴィア・レコード
品番:OVCL-295
録音年:2006年3月6日
収録場所:東京・サントリーホール