■モーツァルト作曲 交響曲第41番「ジュピター」
無駄な音符がひとつもないと言われる、完璧な曲。
確かに隙がない音楽で、モーツァルトが交響曲で到達した最後の曲です。
この時代のものだと、ピリオド楽器の演奏も多く、少ない人数で、ビブラートのない演奏の方が、曲が飽和せず、作曲家の意図がよりわかりやすくなります。
■モダン楽器の雄 指揮者ギュンター・ヴァント
ただ、今回は、ギュンター・ヴァント指揮のものを紹介します。
現代のオーケストラ(北ドイツ放送交響楽団)ですから、音量、表現も大きく進んでいます。
そこに、ひとつも無駄のない音符と指揮者による、一音一音の味付けがマッチして、新しい音楽のようになっています。この一つ一つのニュアンスがきついと感じる方もいるようです。
モーツァルトは、作曲が完璧であることを前提とすると、楽譜どおりに演奏する方がよりよく聞こえるはずです。
楽譜通りに演奏するということで言えば、カール・ベーム指揮のものも同等ですが、ヴァント指揮のものの方が録音が良いのか、表現が良いのか印象にのこる感じがします。
個人的な好みの問題なのですが、いきなり、モーツァルトが好きという人は信じられない部分もあります。これだけ天才的な作曲家を理解するには、相応の経験が必要なんだろうなとも思います。
この後、ベートーヴェンから、交響曲は飛躍的に発展していって、手がつけられないほどに巨大化していくのですが。
■ディスク情報
モーツァルト:
1.交響曲第39番変ホ長調 K.543
2.交響曲第40番ト短調 K.550
3.交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」
北ドイツ放送交響楽団
指揮:ギュンター・ヴァント
録音:1990年5月6日~8日(1 & 3)、1994年3月6日~8日(2)
ハンブルク、ムジークハレでのライヴ(デジタル録音)
【モーツァルト生涯】
1756年:ザルツブルクで誕生。
1761年:最初の作曲(『アンダンテ ハ長調 K.1a』)。
1782年:オペラ『後宮からの誘拐』初演。
1783年:大ミサ曲ハ短調 K.427(417a)を上演。
1785年:弦楽四重奏曲集(ハイドン・セット)をハイドンに献呈。
1786年:オペラ『フィガロの結婚 K.492』初演。
1787年:父レオポルト死去、オペラ『ドン・ジョヴァンニ K.527』初演。
1788年:交響曲第39番、第40番、第41番を作曲。
1790年:オペラ『コジ・ファン・トゥッテ K.588』初演。
1791年:ピアノ協奏曲第27番K.595を作曲。オペラ『皇帝ティートの慈悲』K.621、『魔笛』K.620を初演。同年12月5日、死去。