■シューベルト作曲/未完成交響曲
シューベルトの未完成は、番号のつけ方で、8番や7番とされることがありますが、今回は、紹介するCDの番号で、8番とします。
作曲者が亡くなって未完成というのもあるのですが、この曲の場合、途中まで作って引き出しにしまってそのままになっていたとのことです。
当時の心境はわかりませんが、あまりに2楽章までがすばらしくできすぎたため、続きがつくれなくなったのではという人もいます。
■おすすめのCD
ALTUS/ALT289
シューベルト作曲/交響曲第8番「未完成」
ショスタコーヴィチ作曲/交響曲第5番
エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮/レニングラードフィル
ムラヴィンスキー指揮のショスタコーヴィチ・交響曲第5番の名演は数多く残っています。この演奏もその中のひとつといって良いかと思いますが、
このCDの主役は、シューベルト・交響曲第8番「未完成」です。
これまでもいくつかの「未完成」がCDとして出されていますが、なかなか冒頭の部分が聞き取りにくいなど、録音がいまひとつでした。冒頭部分に関
していえば、生演奏で聴いていた方も、最弱音で気がついたら始まっていたというようなこともありますので、録りにくかったのだと思います。
DVDで、練習風景を見ましたが、この冒頭部分の練習をかなりこだわってされていたので、この部分が聴こえるというのは、このCDの魅力です。
もちろん、曲全体を通して、いつものムラヴィンスキーらしく、一人で演奏しているかのようなコントロールです。特に第2楽章は、美しく演奏され
ます。
ムラヴィンスキーの演奏は、力強く、スピード感がありというものですが、こと未完成に関しては、第1楽章は力強く、第2楽章は美しくが強調されて
います。なかなか良い録音がない指揮者ですので、おすすめです。
■曲について
はじめてのクラシックに、このシューベルト作曲/「未完成」をすすめられることがあります。学校の音楽の時間に聴くこともありますが、あらため
て聴くと深さがあります。指揮者によってもかなり表情が変わります。フルトヴェングラー、クライバー、ヴァント等々名指揮者と呼ばれる方の演奏
は良いものが多いです。
第3楽章のスケッチが残っているとのことで、他の作曲家の方が「完成」させた珍しいものもあるとのことですが、珍しさ以上に聴く気にはあまりな
れません。これで終わっているから、現代まで名曲として残っているのだと思います。