スポンサーリンク

専門家による「iTunesではじめるクラシック音楽の愉しみ」

書籍
カテゴリー




以前レコード芸術誌(音楽之友社)で連載されていた「iTunesではじめるクラシック音楽愉しみ」をとりまとめた本です。
現在は、iTunesに限らず、「ダウンロード音源」をテーマにした連載は続いています。

スポンサーリンク

■概要

書名「レコード芸術編 iTunesではじめるクラシック音楽の愉しみ PC入門者からクラシック・マニアまで」

2013年12月1日発行
著者 相場ひろ 満津岡信育 増田良介 山之内正 「レコード芸術」編

現時点(2020年4月)からみるとすでに7年近く経過しています。

「レコード芸術」は、名前の通り、レコードを紹介する雑誌です。現在はCDが主になりますが、発売されるメディア(モノ)が中心になります。当時の状況をみると、iTunesはすでに普及し、ハイレゾの配信などが始まってくる時期でした。はっきり言ってしまうと、2013年末に「iTunesではじめる」というのは、当時でも相当古い感覚かもしれません。

ただ、テーマごとに、操作についてはマニアックになりすぎず、音源については相当マニアなものが取り上げられており、「配信は苦手」「配信はいやだ」という人でも楽しく読める本です。

「iTunes」が登場したとき、これからは、CDなどのメディアは無くなり配信になっていく、いずれレコード店(CD店)は無くなっていくのではという予測がありました。その通り、多くのレコード店は無くなりましたが、これは書店も同様で、通販の普及もあり実店舗が減っているということもあります。手元にモノがないということはコレクションという意味はなさず、根強くCDやレコードなどが残っている理由にもなっています。

ただ、こういう傾向は「日本」で強いようです。日本人の「癖」か物がないと安心できないということもあるようです。合理的では無いかもしれませんが、そろった物を眺めるという楽しみもあるのではないでしょうか。

■見出し/概要

第1部:iTunes入門編 *「手に入れ損ねた名盤」、今後、どうやって聴きますか? *「目当ての指揮者」で検索にトライ *モーツァルトのレコードたち *ベートーヴェンの名録音

様々な音楽配信サービスがあるなかから、初めての方に「iTunes」をすすめているのは、当時わかりやすく範囲が広く価格も明確、支払いも様々な方法という「試しやすさ」が一番だったことがあるようです。危惧されているのは、「廃盤」や古いものをどうやって聴くか。手元にあればいつでも聴けますが、思い出してこの指揮者は、とたどるときには「廃盤」になっていたり、中古店で高価になっていたりという場合もあります。この項では音源の多い、モーツァルトやベートーヴェンを取り上げ、おすすめのものが紹介されています。

もう一方の方向性としては、メディア化されない新しい録音です。数が見込めずCD化が難しい場合など、配信のメリットがあります。

第2部:名匠編

*フルトヴェングラーを聴く *カラヤンの録音 *プレヴィンの至芸

第2部では、指揮者別のおすすめ音源の紹介です。配信と言ってもすべてがあるわけではないので、指揮者を検索してその中でのおすすめ音源の紹介となっています。年代問わずというところですが、指揮者によっては全くない場合やコンピレーションアルバムの一曲という場合もあります。

第3部:オーディオ編 *「ネット&PCオーディオ」入門 *iTunesのファイルをよりいい音で聴くために *高音質!ハイレゾリューション音源傑作選

この章は、現在でも通じる「技術編」になります。オーディオ評論家の山之内正さんの稿で、簡潔にわかりやすく記載されています。「ハイレゾ」も登場しますが、ハイレゾは「e-onkyo」の紹介が主になります。

この本は、連載のまとめですが、時期が進むにつれ、iTunesでは物足りなくなり、ハイレゾの紹介が増えてきます。圧縮音源では、オーディオが良くなれば良くなるほど馬脚が現れてしまいます。レコード芸術を熱心に購読する方は、それなりのオーディオであることも多く、圧縮音源の配信では限界があったのかもしれません。

第4部:今を聴く、旬を聴く *フィラデルフィア管のダウンロード音源 *ニューヨーク・フィルの現在を聴く

第5部:インターネットで活躍するレーベル *新機軸を打ち出す「ナクソス」音源 *NHK交響楽団アーカイブシリーズ

第6部:クラシック・マニア編 *廃盤をどうする? *ドビュッシーの編曲物を集めて *世界の名コレクター・サイト紹介、他

配信の隆盛を見てみると、レーベルの身軽さも重要だと思います。その点では「ナクソス」は様々工夫をしています。大手は、結局は古い物の焼き直し。CDを何度も発売する手法と同様です。

現在の私の音源というと、CDで購入したものをパソコンで録音し、NASに保存、ステレオで聴いたり、コンパクトオーディオプレーヤーで聴いたりということが多いです。配信の利用は、「ハイレゾ」のみになっています。メディアとしてはSACDが高音質ですが、プレーヤーの問題とパソコンで録音できないことなど利便性に欠けます。

現在では、ストリーミング、また、ハイレゾのストリーミング配信もありますが、ラインナップから見るとクラシック音楽は受容の関係からかラインナップは手薄と感じます。

この本については、廃刊になっていますが中古でも安く手に入るようです。
配信に挑戦するための本というよりは、珍しい音源、新たな発見の手助けをする本だと思います。

アマゾンの販売ページ

 

タイトルとURLをコピーしました